冠=王様の自己愛の象徴

これを置くということは、肥大化した自己愛をいったんは放棄するということである。こうして王様は森の動物たちと交流し、コミュニティを形成することが可能となった。
肥大化した自己愛を放棄して〈社会〉形成が可能になる一方で、〈社会〉での営み(分業制による地上版星の鳥の製作)の中で「星の鳥」=〈世界〉は忘れられてゆく。短くまとめるならば、『〈社会〉の中で〈世界〉は遠ざかる』、ということ。王様が冠をはずすシーンは、物語の中で重要な転換点のひとつである。